History
愛隣館研修センター変動期の始まり 1984〜 ―コミュニティー オーガナイズ―

▼2003年4月より 障がい者支援費制度スタート

障がい者の支援費制度という新しい制度が、この4月から始まりました。この支援費制度になったことで、事業所は増えました。ただ、良い部分もある反面、線引きがされてしまうこともあります。

今まで『遊隣』でやっていた、介助者を一人付けて、その人を見ますというその方式が、京都市の支援費制度に移行して出来るようになりました。今までの状況を考えると大変革でした。


▼『遊隣』〜ホームヘルプ事業「ゆうりん」へ

 支援費制度は、事業所にお金が流れ込みます。今まで持ち出し、持ち出しでやってきた部分や、京都市が『遊隣』に対して重症心身障がい児者のレスパイトモデル事業として年間200万円のコーディネーター人件費で守られてきたことが嘘のような金額です。支援費制度では、月で200万円以上が入ってくるというすごい制度なのです。

支援費制度が無い時に既にニーズの掘り起こし、支援の必要性を把握していたので、その人たちがそのまま、やっぱり安心できるからということで契約された賜に他ならないのですが…


また、支援費になったことで、今まで使えなかった人たちも、福祉事務所で「『ゆうりん』に行って支援費の契約をしたらいい」と言われ他のも加わり、増加し続けました。ヘルパーの量、人数、場所の限界が見え始め大変革期へさしかかろうとしている状況です。


▼支援費制度とは

支援費制度の、一番の「売り」は、自己選択、自己決定できるということです。

利用者主体で、利用者と事業者、施設の側も対等な関係で契約が存在します。


今までは「すみません、よろしくお願します」と、お願いして施設に入れてもらっているような形でした。これからは、自分たちが選んで施設へ行き、施設になにかあれば、第三者委員会に相談し、苦情処理といった形で、自分たちの権利が守られるというようなことが当たり前の社会でなければおかしいのです。


しかし、実際は逆の状況が起こっているのです。授産施設に通えていた人が、支援費になっても同様に通えると思っていたら、なんと事業主の側が自分たちも自己選択できると主張し、手が掛かるということで、「あなたとは、うちは契約しません」と、ほっぽり出されるということが現実にあり、大きな問題になっているのです。


▼最後に


利用者主体を軸にした事業所が増えないことには、本当の意味で障がいを持っている方々が地域で安心して暮らしていける社会にはほど遠いと感じています。


制度ができていくことによって、骨抜きにされてしまうことも恐れていることです。


制度に安閑として乗って行ったら、事業主もお金が入るようになり、利用する側も今までより利用できるようになり、「よかったなー」と思えることもあるのですが、それによって、今まで作り上げてきた障がい者の運動や、事業者の側が無理してでもやろうとしてきた想いの部分が骨抜きにされ、一体それは何のためにやっているのかということが、分からなくなってくることがあるのです。


1979199319992002 ― 2003